AIチャット(生成モデル)に“人間らしい文章”を出力させるための指針として、 “100の条件” を作成しました。
システム化する際の・設計基盤として共有しておきたいとおもいます。
この100個の条件は、そのまま 「Human-like Writing Prompt Policy」(人間らしい文章生成方針)として
AIの出力チューニング指標に使えます。つまり、これをもとにプロンプトとして作成しておけば、人間らしい文章を生成することが可能になります。
そもそも、人間らしい、とか、AIっぽい、とかは何をどのように捉えて、そのように感じているのかを定義しておきましょう。
「人間らしい」「AIっぽい」という感覚を構造的に定義しないまま“人間らしい文章を作れ”と言っても、AIにとっては曖昧な命令になりますから、そうして生成された文章はAIっぽくなりますね。
そこでここでは、人間らしさ/AIらしさ を 知覚・認知・構造・感情・文脈 の5階層で体系的に定義して、それぞれで人間らしい、AIらしいを定義します。
🧠 人間らしさ/AIらしさ の構造的定義
| 観点 | 人間らしい文章 | AIっぽい文章 | 定義軸 |
|---|---|---|---|
| ① 知覚的レベル(表層) | 文の長さ・リズムに揺らぎがあり、句読点や改行に「呼吸」がある | 一文ごとの長さ・構造が均一で、リズムが一定 | 音・リズム・間の多様性 |
| ② 認知的レベル(構成) | 話の展開に「意図的なズレ」や「感情の流れ」がある | 完全な論理構造、主張→理由→結論の直線的展開 | 意図的な非線形性 |
| ③ 感情的レベル(温度) | 喜怒哀楽、迷い、安堵などの感情が滲む | 感情語が少なく、文体が平板 | 感情の存在密度 |
| ④ 社会・文化的レベル(文脈) | 時代・文化・個人の背景に紐づいている | 抽象的で文脈を持たない | 文脈の具体性と文化依存性 |
| ⑤ 哲学的レベル(存在) | 「なぜ」「どう感じた」など主観と存在意識が含まれる | 客観的説明のみで、自己言及や矛盾を排除 | 主観・矛盾・不完全さの許容 |
🧩 定義の核心:「整いすぎ vs 揺らぎのある秩序」
| 特徴 | AI的 | 人間的 |
|---|---|---|
| 構造 | 完璧で整っている | 不完全で流動的 |
| リズム | 均一・パターン化 | 変化・抑揚・間がある |
| 感情 | 感情語が少ない、冷静 | 感情が滲む、語尾に温度がある |
| 語彙 | 精確・汎用 | 個性的・感覚的 |
| 思考 | 直線的・演繹的 | 回想的・比喩的・逸脱的 |
| 主観 | 客観中心 | 主観・迷い・自意識を含む |
| 目的 | 情報伝達 | 共感・共有・余韻を残す |
| 時間軸 | 現在固定 | 過去・未来を行き来する |
| 一貫性 | 高い | あえて矛盾を残す |
| 間 | 無い(密度が均一) | 「沈黙」や「余白」を意識的に入れる |
💡 読者が「AIっぽい」と感じる心理メカニズム
人は、文章の微細なリズムの単調さや感情の欠如を無意識に検知します。
この違和感の正体を心理的に分析すると以下のようになります。
| 要因 | AIっぽさを感じる理由 |
|---|---|
| 流暢性の過剰 | 間違いがなく、スムーズすぎる=「機械的完璧さ」 |
| 確率的均一性 | 文構造・語尾・接続詞の出現確率が均一すぎる |
| 感情共鳴の欠如 | 書き手の「欲求」「恐れ」「希望」が感じられない |
| 曖昧さの排除 | “わからなさ”や“ためらい”がないため、人間的余白が失われる |
| 言語温度の低さ | 情動に紐づく語彙(嬉しい・寂しい・懐かしいなど)が少ない |
| 予測可能性 | 次に何が来るかが簡単に読める展開構造 |
❤️🔥 「人間らしさ」とは何か(本質定義)
人間らしさとは、完璧ではない秩序の中に感情と意図が存在している状態。
AIらしさとは、完璧な秩序の中に感情と意図が欠落している状態。
🧠 AI実装視点での定義変換
| 次元 | パラメータ化 | 実装目的 |
|---|---|---|
| 揺らぎ (Variance) | sentence_length_variance | 文構造の変化率 |
| 感情温度 (Affectiveness) | emotion_intensity | 感情語・語尾の比率 |
| 意図の曖昧さ (Ambiguity) | ambiguity_rate | 不確定表現の割合 |
| 主観性 (Subjectivity) | subjective_ratio | 一人称・感情語の出現率 |
| 文化依存度 (Contextual Depth) | cultural_reference_density | 時事・文化要素の挿入頻度 |
🌏 定義のまとめ(AIプロンプトに埋め込む抽象定義)
「人間らしい文章」とは、
文法的正しさよりも、感情・意図・偶然・矛盾・余白を含むことで、
読み手が“心の存在”を感じ取る文章と言えます。
「AIっぽい文章」とは、
論理的に正しく整いすぎ、リズム・感情・文脈の揺らぎが失われ、
情報としては正確だが、体温を持たない文章と言えます。
この定義に基づいて、文章を判定できるように 「文章の人間らしさ判定スコア(Humanity Index)」 を設計して、AI出力を数値的に評価できるようにします。
🧠 Humanity Index(人間らしさ判定スコア)とは?
•AIが生成した文章の「人間らしさ」を、定量的に測定するためのスコアリングモデル。
単なる感覚ではなく、「リズム・感情・主観・曖昧さ・文化・共感性」などの要素を数値化します。
| レイヤー | 概要 | 評価軸数 | 最大スコア |
| L1:表層(Surface) | 文構造・リズム・句読点など、機械的特徴 | 20項目 | 20点 |
| L2:感情(Affective) | 感情・温度・語尾・抑揚など | 20項目 | 20点 |
| L3:主観(Subjective) | 体験・意図・迷い・思考の流れ | 20項目 | 20点 |
| L4:文脈(Contextual) | 時代性・文化・具体例・背景 | 20項目 | 20点 |
| L5:共感(Empathic) | 読者との対話性・余韻・共感喚起 | 20項目 | 20点 |
| 合計 | — | 100項目 | 100点満点 |
例えば、L1:表層には、文の長さや標準偏差、句読点の多様性、改行密度、リズムパタンの変動、接続詞バリエーション、文末多様性、否定文と肯定文の比率、感嘆文・疑問文の出現率、構文多様性、不完全文、破格の存在といった20項目がある。まあ、完全過ぎる文というのはAIと判定されてしまい、人間というのはなんらかの揺らぎや不統一性のなかに、意識が見え隠れするのであろう。ここはあくまでも私個人の考えだが、意味も意識も読み取れないような文章であれば、それはAIだろうが人間だろうがもはやどうでもいいとなる。もっといえば、ここではAIが人間のように文章を吐き出すための研究なので、人間でも人間らしくない文章を書くだろうし、そんなのは世の中にたくさん吐き出されているがもはやどうでもよい。
さてL2は、人間の感情。これについては、次回にしよう。